・なかなか柔術でテイクダウンが取れない
・テイクダウンを取って試合展開を有利に進めたい
柔術はすぐにお互い引き込みからの体制になるシーンが多く、テイクダウンってなかなか取れないですよね。
でも、テイクダウンをさせることで2ポイントが柔術では与えられるため有効な投げ技を使えばとても有利な展開になります。
今回はそんなテイクダウンに苦手意識をもっている方へ向けて柔術で使える柔道の投げ技を解説します。
私も実際に柔術を5年間やっている中で、これまで小学校からやってきた柔道を活かしながらテイクダウンが取れた技を中心に解説をします。
この記事を読めば、柔術でのテイクダウンに自信を持つことができ練習もきっと楽しくなるはずです。
テイクダウンに自信をもちたいという方はぜひ参考にしてみてください。
1,柔道にはどんな投げ技があるの
まず、柔道の投げ技にはどんな技があるのか理解しておきましょう。
その中から柔術に活用できそうな技をピックアップしていきます。
そもそもブラジリアン柔術自体がもともとは柔道から成り立っていった競技なので、
柔道の技も理解しておくと引き出しが増えると思います。
飛ばしたい方は目次から見たい項目へスキップしてください。
講道館がまとめている柔道の投げ技一覧によると全部で68本あります。
かなり体系的に整理されていますので、詳しくは講道館ホームページをご参照ください。
①手技(てわざ)16本
1 | 背負投(せおいなげ) 相手を前方に崩し、右肘を相手の右腋に入れ、右肩越しに背負って投げる技 |
2 | 一本背負投(いっぽんせおいなげ) 相手を前方に崩し、右腕で相手の右腕を内側から抱え、右肩越しに背負って投げる技 |
3 | 背負落(せおいおとし) 相手を前方に崩し、背負って、片膝又は両膝を畳に着き、引き落として投げる技 |
4 | 体落(たいおとし) 相手を前方に崩し、体を左に開き、右足を相手の右足前に踏み出し、引き落として投げる技 |
5 | 肩車(かたぐるま) 相手を前方に崩し、右手で相手の右ももを内側から抱え、右肩から頸(くび)の後ろと左肩に担ぎ上げて投げる技 |
6 | 掬投(すくいなげ) 相手の背後に踏み込み、両手で相手の両ももを前から抱えて後方に崩し、掬い上げて投げる技。また、相手の両脚の間に手を差し入れ、ももを掬い上げて投げる技 |
7 | 帯落(おびおとし) 右手で相手の前帯を取り、引きつけて右背後に踏み込み、左手で前から相手の腰を抱えて後方に崩し、掬い上げ、落として投げる技 |
8 | 浮落(うきおとし) 相手を前方に崩し、右前隅に引き落として投げる技 |
9 | 隅落(すみおとし) 左足を相手の右足外側に踏み込んで右後隅に崩し、押し落として投げる技 |
10 | 山嵐(やまあらし) 左手で相手の右袖を取り、右手の親指を内にして相手の右横襟を握って前方に釣り込んで崩し、右足で相手の右脚を払い上げて投げる技 |
11 | 帯取返(おびとりがえし) 右手で相手の肩越しに帯を取り、左手で右腕又は右脚などを取り、右膝を相手の両ももの間に入れ釣り上げて右肩越しに投げる技 |
12 | 双手刈(もろてがり) 両手で相手の両脚を外側から抱え、刈って投げる技 |
13 | 朽木倒(くちきたおし) 片手で相手の片脚を内側又は外側から取って引き上げ、後方へ押し落として投げる技 |
14 | 踵返(きびすがえし) 片手で相手の踵(かかと)を内側又は外側から刈って投げる技 |
15 | 内股すかし(うちまたすかし) 相手の内股をすかして投げる技 |
16 | 小内返(こうちがえし) 相手の小内刈をかわして投げる技 |
②腰技(こしわざ)10本
1 | 浮腰(うきごし) 相手を前方に崩し、右腕を相手の左腋下に差し入れて腰を引きつけ、浅く腰にのせ体を捻って投げる技 |
2 | 大腰(おおごし) 相手を前方に崩し、右腕を相手の左腋下に差し入れて腰を抱き寄せ、後ろ腰に乗せて投げる技 |
3 | 腰車(こしぐるま) 相手を前方に崩し、右腕で相手の頸を抱え、腰を深く入れて軸とし、回転させて投げる技 |
4 | 釣込腰(つりこみごし) 相手を前方に崩し、釣り込んで後ろ腰に乗せて投げる技 |
5 | 袖釣込腰(そでつりこみごし) 相手を前方に崩し、袖を釣り込んで後ろ腰に乗せて投げる技 |
6 | 払腰(はらいごし) 相手を前方に崩し、右後ろ腰に乗せ、右脚で払い上げて投げる技 |
7 | 釣腰(つりごし) 相手を前方に崩し、右手で相手の後ろ帯を取って釣り寄せ、後ろ腰に乗せて投げる技 |
8 | 跳腰(はねごし) 相手を前方に崩し、右後ろ腰と右脚で跳ね上げて投げる技 |
9 | 移腰(うつりごし) 相手の投技等に応じて腰を抱え上げ、後ろ腰に移し乗せて投げる技 |
10 | 後腰(うしろごし) 相手の投技等に応じて相手の腰を抱え上げ、直下に落として投げる技 |
③足技(あしわざ)21本
1 | 出足払(であしはらい) 相手が右足を踏み出して体重を乗せた瞬間、左足で払って投げる技 |
2 | 膝車(ひざぐるま) 相手を前方に崩し、左足で相手の右膝を支え、回転させて投げる技 |
3 | 支釣込足(ささえつりこみあし) 相手を前方に釣り込んで崩し、左足で相手の右足首を支えて投げる技 |
4 | 大外刈(おおそとがり) 相手を後方に崩し、右脚で相手の右脚を外側から刈って投げる技 |
5 | 大内刈(おおうちがり) 相手を後方に崩し、右脚で相手の左脚を内側から刈って投げる技 |
6 | 小外刈(こそとがり) 相手を後方に崩し、左足で相手の右足を外側から刈って投げる技 |
7 | 小内刈(こうちがり) 相手を後方に崩し、右足で相手の右足を内側から刈って投げる技 |
8 | 送足払(おくりあしはらい) 相手を左方向へ送り込み、左足で相手の右足を両足が揃うように払って投げる技 |
9 | 内股(うちまた) 相手を前方に崩し、右脚後ろももで相手の内ももを払い上げて投げる技 |
10 | 小外掛(こそとがけ) 相手を後方に崩し、左脚を相手の右脚に外側から掛け、体を抜き上げて投げる技 |
11 | 足車(あしぐるま) 相手を前方に崩し、右脚を相手の右膝にあてて軸とし、回転させて投げる技 |
12 | 払釣込足(はらいつりこみあし) 相手を前方に釣り込んで崩し、左足で相手の右足首を前から払い上げて投げる技 |
13 | 大車(おおぐるま) 相手を前方に崩し、右脚を相手の下腹部から両もも上部にあてて軸とし、回転させて投げる技 |
14 | 大外車(おおそとぐるま) 相手を後方に崩し、右脚を相手の両脚の後ろにあてて軸とし、回転させて投げる技 |
15 | 大外落(おおそとおとし) 相手を後方に崩し、右脚を相手の右後ろももの上から摺り下ろし、直下に落として投げる技 |
16 | 燕返(つばめがえし) 相手の足で払う動作をすかし、すかした足で払い返して投げる技 |
17 | 大外返(おおそとがえし) 相手の大外刈を刈られた脚で切り返して投げる技 |
18 | 大内返(おおうちがえし) 相手の大内刈を刈られた脚で切り返して投げる技 |
19 | 跳腰返(はねごしがえし) 相手の跳腰の軸足を脚で外側から刈り、又は掛けて投げる技 |
20 | 払腰返(はらいごしがえし) 相手の払腰の軸足を脚で外側から刈り、又は掛けて投げる技 |
21 | 内股返(うちまたがえし) 相手の内股の軸足を脚で外側から刈り、又は掛けて投げる技 |
④真捨身技(ますてみわざ)5本
1 | 巴投(ともえなげ) 相手を前方に崩し、体を仰向けに捨て、右足裏を相手の下腹部にあて、頭越しに投げる |
2 | 隅返(すみがえし) 相手を前方に崩し、右手で相手の襟や背部を取って上体を引きつけ、体を仰向けに捨て、右下腿で相手の左内ももを跳ね上げ、頭越しに投げる技 |
3 | 引込返(ひきこみがえし) 相手を前方に崩し、右手で相手の後ろ帯を取って上体を引きつけ、体を仰向けに捨て、右下腿で相手の左内ももを跳ね上げ、頭越しに投げる技 |
4 | 俵返(たわらがえし) 相手を前方に崩し、前から背に覆いかぶさって両腕で相手の上体を抱え上げ、体を仰向けに捨て、肩越しに投げる技 |
5 | 裏投(うらなげ) 相手の投技等に応じ、相手の上体を抱え上げ、体を仰向けに捨て、肩越しに投げる技 |
⑤横捨身技(よこすてみわざ)16本
1 | 横落(よこおとし) 相手を右側方に崩し、左脚を相手の右足外側へ滑り込ませ、体を左向きに捨て、引き落として投げる技 |
2 | 谷落(たにおとし) 相手を後方に崩し、左脚を相手の後方へ滑り込ませ、体を左向きに捨て、引き落として投げる技 |
3 | 跳巻込(はねまきこみ) 跳腰を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる技 |
4 | 外巻込(そとまきこみ) 相手を前方に崩し、右腕で相手の右腕を腋に抱え、腰を深く入れ、巻き込んで投げる技 |
5 | 内巻込(うちまきこみ) 相手を前方に崩し、右腕で相手の右腕を内側から抱え、腰を深く入れ、巻き込んで投げる技 |
6 | 浮技(うきわざ) 相手を右前方に崩し、左脚を伸ばして相手の右足外側へ出して体を左向きに捨て、回転させて投げる技 |
7 | 横分(よこわかれ) 相手を前方に崩し、両足を相手の右足外側へ踏み込んで体を左向きに捨て、体越しに回転させて投げる技 |
8 | 横車(よこぐるま) 相手の投げ技等に応じ、左手で相手の腰を抱いて前方に崩し、体を捻り相手の両脚の間に前から右足を滑り込ませて左横向きに捨て、回転させて投げる技 |
9 | 横掛(よこがけ) 相手を右足小指側に崩し、体を左向きに捨て、左足で相手の右外踝(みぎそとくるぶし)を押し払って投げる技 |
10 | 抱分(だきわかれ) 両手両足を畳に着こうとした相手の上体を背後から抱え、体を捻り左横向きに捨て、体越しに投げる技 |
11 | 大外巻込(おおそとまきこみ) 大外刈を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる技 |
12 | 内股巻込(うちまたまきこみ) 内股を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる技 |
13 | 払巻込(はらいまきこみ) 払腰を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる技 |
14 | 小内巻込(こうちまきこみ) 相手を後方に崩し、相手の右脚に内側から右脚を掛け、体を前方へ捨て、巻き込んで投げる技 |
15 | 蟹挟(かにばさみ) 相手を後方に崩し、相手の左側から体を左に開いて右脚を相手の下腹部に、左脚を相手の両膝裏にあてて体を左横向きに捨て、両脚で挟んで投げる技 |
16 | 河津掛(かわづがけ) 相手を引きよせ、体を左へ開いて右脚を相手の左脚の内側からからめ、その足を前方に上げながら同体で体を捨てて投げる技 |
2,柔術でのテイクダウンに使える投げ技とは
柔術でのテイクダウンはいかにポイントを取って、その後良いポジションをキープするかが大事です。
なぜならば、テイクダウンをした後に自分の体制が崩れて相手に良いポジションを与えてしまってはその後の展開が不利になるからです。
例えば、背負い投げをして投げようとしたがつぶれてそのままバックを取られてしまっては逆に4ポイント取られてしまいます。
つまり、テイクダウン後のポジションが非常に重要となります。
その観点で言うと、以下のような技は避けたほうが無難といえます。
・自分の体制が崩れやすい捨て身技系
・背負い投げ等の相手に背を向ける投げ技
・そもそも危険な技(カニばさみ、河津掛け等)
上記以外の技が柔術でも使える投げ技といえると思います。
3,柔術でテイクダウンが出来る柔道の投げ技10選
前項でもご説明したように柔術で使える投げ技は「テイクダウン後に自分が良いポジションにつける技」だと思います。
特に上からの攻めが得意な方はこの投げ技を覚えることで、自分の有利なポジションから展開をスタートすることができます。
その観点で、これまで活用してきた技で柔術で活用できると感じた技をご紹介します。
どれも活用できますが、怪我をお互いにしないようまずはしっかり練習してからかけてください。
※下記動画貼り付け元:<http://kodokanjudoinstitute.org/waza/list/>
<相手の重心が低姿勢で後ろに下がっている場合> ※よくある柔術の姿勢
①大外刈(おおそとがり) 難易度★★
②大内刈(おおうちがり) 難易度★★
③小内刈(こうちがり) 難易度★★
④出足払(であしばらい) 難易度★
<相手が前に出てきた場合> ※相手もテイクダウンに来ようと前に出てきた場合
⑤大腰(おおごし) 難易度★
⑥内股(うちまた) 難易度★★★
⑦払腰(はらいごし) 難易度★★
⑧巴投(ともえなげ) 難易度★★★
<番外編:相手がタックルに来た時>
⑨俵返(たわらがえし) 難易度★★
⑩引込返(ひきこみがえし) 難易度★★
4,まとめ
柔術で活用できる柔道の投げ技で大事なことは、以下になると思います。
・投げた後の良いポジションをキープできる(逆にキープできない技はやらない)
・相手の体制によって投げ技を変える(重心が後ろの時、前に出てきた時等)
・危険な技はやらない(カニばさみ、河津掛け等)
またいきなりスパーリングや試合で使用せず、お互いに怪我をしないように
相手に協力してもらって練習をしてから使用してみてください。
そのほか、今回ご紹介出来なかった技もたくさんあるので、柔道の投げ技から寝技への移行で
参考になる本もあるので見てみてくださいね。